「この世界に、私だけが取り残されてしまったみたい」。子どもを産んで、そう感じる夜が何度もあった。【ママになっても、もっと自由に】その願いを込めたコミュニティ をつくりたいと思うまで
2023年夏に、はじめて子どもを産んでママになった。
終わらない夜泣き、軌道に乗らない授乳、片付けても片付けても散らかる部屋、買っても買っても足りないベビーグッズ、追いつけない子の成長に変化、思い通りにいかない自分の体……等々が次々と押し寄せて、己の地盤がゆらぐような感覚に陥りそうだった日々がたしかにあった。
もちろん子どもは念願で、新鮮な子育てはとても楽しく、けれど「母」の私があたらしく目を見張るほど満たされていく一方で、産前あれだけ胸を張って生きてくれていた「私」が日に日に萎んでゆくような、違うものに変わってしまったような「置いて行かれている感」があったのだった。
幸せを感じる気持ちの、一方で
とくに、覚悟はとうにできていたはずなのに、自分がアサインされるはずだった海外渡航の案件にほかのひとが行っているSNSポストを見た時は、正直自分でも予想しなかったレベルのダメージを受けてしまった。
腕の中でむにゃむにゃと母乳とミルクを飲む息子、夜中3時に片手スマホで眺める誰もいないタイムライン、夫以外誰に伝えていいかわからない愚痴、その夫にすら理解してもらえないと感じる孤立感、乳腺炎手前で夜中ヘルプを求めて送る助産師さんへのSMSメッセージ、華々しい誰かの今日も変わらない活躍の残り香が、夜中の暗く小さな部屋に漂って私の周りを離れない。
たとえば、と「これが望まない妊娠だったら」とほかの人の立場を想像したら、一瞬ヒヤリと冷たくなった。「そんなの、つわりを含めたここまでの道のりどうやって進んでいったらいいって言うのよ」と誰かに怒りをぶつけたい気持ちにすらなってしまう。
「子どもが産みたいかも」。
歳を重ねるにつれ、そう感じる心が強くなってゆく友人たちを数多く見てきた。私自身もそうだった。自由と気ままさ、身軽さを愛していた自分に、まさかそう思う日が来るなんて。
驚くと同時に、「旅や仕事は、これからの暮らしはどうしよう」と今までと異なる質感の悩みが頭をもたげてきたのも事実。
新しいゲームが始まった。「母」の私も「私」自身も、真の意味で前向きにそう思って日々を味わい尽くせる余裕が出るのは、子育てのもう少しあとの方のフェーズの話。
***「この孤独は、私だけのものなのだろうか」
何度もそう感じる夜を越えてきた。「きっと違う」と思った。そう思いたい私がいた。
『たまひよ』や『ninaru』などの妊娠・子育てアプリで、同じくらいの妊娠週数、月齢のママのリアルタイムの悩みや喜びのポストに心が救われている自分もいた。
「きっと、ひとりじゃないはず」。
でも、仲間がどこにいるかわからなかった。
一年くらいの時間が経って、産前から仲の良かった友達たちが、出産をし始めて世界が少し明るくなってゆく。
その中のひとり、古性のちと互いの想いや状況を話すにつれ、自然と「ママのためのコミュニティをつくりたいね」と夢が膨らむようになってゆく。
ママになっても、友達はたくさんできる。それは実体験として知っていた。
けれど、育休や産休を取らずに仕事を続けている話や、産後も子どもを連れて旅や多拠点生活をしたい話、ノマド的な生き方を暮らしに取り入れ続けたい嗜好や、それを目指す過程であたらしい選択肢と思えるものを試すこと——。
それらは、「ひとりではできない」と、子連れ旅や子連れ仕事など、様々なトライアンドエラーを経るたびに確信に近づいた。
「似た想いのママとつながる」だけでなく、「これからの未来を一緒に楽しもうと思える仲間」を探す旅。
それは、リアルの世界で、街ゆく人々にひとりずつ声をかけて「あなた、そうですか?」と聞いても叶えられないことは明白だった。怖すぎるしね。
【ママになっても、もっと自由に】
加えて、【旅と写真と文章】のいずれかに心ときめくと感じるママやプレママたちに出会える場所を、一緒につくろうと構想が固まるまでにそう時間はかからなかった。
最初は、そんな仲間がこの世界のどこにいるのか想像もつかなかったから、プレオープンのリリースを出すまで「蓋を開けたら私たち2人しかいなかったらどうしよう」と泣きそうに不安だった。
ひとが集まらないことが怖い、というよりも、「私たちしかそんなやつ(ママになっても、もっと自由にと本気で願うやつ)はいない」と事実を突きつけられたらどうしたらいいんだっけな、と心配だったような気がしてる。
その後、無事にプレオープンは70名ほどの応募をいただき、審査を経て50名で限定3ヶ月間の活動を始めたのは、noteやSNSに綴ってきた通りだ。
「この世界に、仲間がいる」
そう実感できた3ヶ月は、あの夜世界から取り残されたみたいだ、と感じて涙を流していた私に伝えてあげたい光景だった。
2026年1月7日。ついに本オープンの募集が始まる。ママやプレママが集う場所。
個人的には、子育ての情報交換や仕事づくりのためのあれやこれやのオン・オフラインイベント開催はもとより、
「SNSで話すまでもない(または話しづらい)と感じてしまう子育ての悩みや愚痴」のほか、とくに「周囲に明かせない妊娠初期の初期レベルの不安について」も安心して話せる場所になってほしいと願っている。
……ほんとに、妊娠初期のつわり有り妊婦のつらさは言葉にし難いものがある。
安定期までは体感3ヶ月ほどあるというのに、場合によっては親しいひとにすら伝えるのが怖くなってしまうほどの不安定さを孕む妊婦の日々。
誰か遠くでもいいから仲間がいたら、と願った期間が、産後の夜泣きの時期よりもっと前、私にもたしかに存在して。それを変えてくれる居場所がもしあったら、と日がな吐きながらずっと願っていた。
Hearth Port。あたたかな暖炉、居場所、港の家族。そんな想いを込めて名付けた、愛称「ハスポ」と呼ぶことにしたその場所が、これからの世界で、長く息づき、「ママになっても、もっと自由に」生きたいと願うママやプレママにとってのホームになってくれたらいい——
し、「するぞ」という決意の方が大きい。願うのは簡単、大事なのは体現して具現化してゆくこと、肩肘張らず続いてゆくこと。誰かのよろこびや安心となれること。
絵空事で終わらせないための仕掛けたちの種、2026年はそこかしこに蒔いて。ママになっても、この世界の海を自由に泳いでゆく。そのための場所が、そう、いまから始まる、始めるのだ。
次回募集の情報は、公式Instagramアカウント(@hearth_port)より


